2011年4月11日月曜日

地域政党の躍進について

今回の地方選において、自民党・民主党共に伸び悩み、地域政党が躍進した。

減税日本ならびに日本一愛知の会は失速したが、とりわけ大阪維新の会は予想を大きく上回る過半数の議席を確保した。率直に言って、大阪維新の会がここまで勝利したのは驚きであった。NHK選挙特番の中で、刻一刻と増えていく維新の会の議席数に興奮した。

僕は橋下知事には強い期待を寄せている。橋下知事になってから、大阪は財政再建に大きく舵を切ることに成功した。数年前までは財政再建団体への転落がまことしやかにささやかれ、処置なしだったのである。これを公務員給与削減をはじめとして必要な政策をやや強権的ながらもきちんと交渉や議会での協議を進めながらリーダーシップ・音頭をとって進めてきたのである。しかし、一方で橋下知事の都構想には道州制への移行についてのビジョンが見えにくい。都構想と道州制は矛盾しないと思っておられるのかもしれないが、個人的には都構想にのめりこむあまりに道州制がやや置いてきぼりになっているのではないかと感じる。

一方、河村・大村両氏については言及したくない。正直に言えば地域政党を名乗りつつ、国政に未練たらたらな態度がいただけない。名古屋市民や愛知県民の負託を受けながら不誠実である。もし国政に打って出たいならば名古屋市長なんて肩書きを捨てて、堂々と国政で勝負したらよろしい。それも出来ない腰抜けが地域政党・地域主権の勢いに乗っかって勝負に出ているようにしか見えない。「それが政治家というものだ」といわれれば、それまでなのだが、橋下氏のように全面的に賛同できなくとも応援したいと思わせるものがない。

この2つが今の地域政党や地域主権の流れで最も大きなものだと思う。僕は地域政党に期待しながらも一方で首長がここまで露骨なポピュリズム的な政策をとってしかも圧倒的支持を集めている姿を見ると非常に危惧を感じざるを得ない。また地域で出来ることは地域での名の下に国政と地方政治が完全に分断されることが正しいのか非常に疑問を感じている。

ここで、一般的な地域政党についての議論をしたい。

地域政党の躍進はひとつには地域の自主性が拡大し、国の一部としての政治ではなく、地方地方の自立性が向上するというメリットが考えられる。私もこの意見に賛成である。今までの画一的な地方行政は地方の活力を大きく損ねる結果をまねいてきたと思う。

一方で地方と国とで政治的つながりが薄れすぎると、国の連帯意識が損なわれることが考えられる。国の連帯意識と述べるとオーバーなと思われる方もいらっしゃることだろう。しかし、政治学の世界では、国の政治と地域とのつながりが薄れると地盤が不安定になり、政党の力が弱体化する傾向にあるとされている。考えてみれば当たり前のことである。確実に勝ちが見込める地盤のない政党は根無し草である。合従連衡・党利党略で政党の姿かたちを変えていってしまえるし、根元がないから空理空論に走りがちである。日本のような先進国としてある程度民度が高く、「ほぼ単一民族国家」では、国家の分裂や過剰な政党組み換えといった問題は抱えないが、多民族国家では広く国民に支持基盤を持たなければ、国家が分裂してしまうし、発展途上国ではボスの支配による非民主的政治が横行することもあるのである。

このまま行けば地域政党と国政の間のパイプは細り、ますます国政が遊離していってしまうことだろう。国政が地域から遊離する前に、手を打たなければならない。僕は慢性的な地方組織の弱体化が続く保守政党「自民党」にこそ、今ある多くの保守系地域政党を取りまとめ、あるいは今の強力な地方組織を発展的に解消し、緩やかな地域連合政党へと脱皮してほしいと願っている。

2011年4月6日水曜日

大連立は是か非か?

 最近、民・自による大連立構想が取り沙汰されているが、5日、自民党谷垣総裁は大連立について「ありえない」と話したそうだ。党内には大連立に前向きな議員も少なからずいたようであるから、今後、自民党がどのような行動にでるのか読めなくなってきた。
 私自身は大連立には必ずしも反対ではない。しかし、それは、政局的な打算を捨て、純粋に国難に挙国一致で立ち向かうという信念をもっていればの話である。今回の大連立構想には民主党にも自民党にもそれぞれの政局的な思惑があるように思う。つまり、民主党は政権運営を円滑に進めたい。自民党は野党を卒業して権力に返り咲きたい。そのような打算があるとするならば大連立には反対である。あくまでも国家国民のためにという気概がなければ大連立などという大事をするべきではない。仮に両者の私欲のために軽々しく大連立ということになれば、これ以上国民を愚弄する話はない。国民の政治不信は頂点に達するだろう。そして何よりも被災された方々に対して失礼である。
 みなさんは大連立に関していかがお考えだろうか。