2011年9月6日火曜日

たばこ増税発言より感じたこと

 「税収を上げるためではありません。皆さんの健康を守るためです」

 そのように無邪気な笑顔を浮かべて語る様を見て、私は心底気持ち悪いと思った。いうまでもないが、これは小宮山厚労相の会見でたばこ税を値上げすることに対して発した言葉である。たばこを吸おうが吸うまいが人の勝手だ。他人にとやかく言われる筋合いはない。ましてやお上が首を突っ込むことではない。

 何も私が愛煙家だから反発しているわけではないのだ(そもそも私はたばこは吸わない)。こうした発言が左翼の性質を象徴しているからである。つまり私が導いてあげますという勘違いも甚だしい思い上がった態度である。自民党参議院議員である西田昌司氏が言うように、保守とは謙虚さのことである。自身の生まれ育った共同体の歴史や慣習、そこに住まう人々に対して謙虚になる、これが保守の姿である。一方、左翼にはそうした謙虚さがない。歴史や伝統に敬意を表することなく、いとも簡単にそれらを破壊しようとする。また啓蒙思想という言葉があるように、左翼は無知蒙昧な民衆を教え導くという態度も持っている。そうした不遜な態度が小宮山氏の発言に表れていることは一目瞭然であろう。

 それは同氏だけに限ったことではない。民主党という政党そのものにも見て取れる。子ども手当、高校無償化、外国人参政権付与、人権擁護法など、これらすべての根底にあるのは、困っている人は私が助けてあげましょうという思い上がりである。もちろん、本当に困っている人には救いの手を差し伸べればいい。しかしそれは最終手段であり、自力救済が基礎にあるべきだ。彼らを見ていると、そんなことはお構いないしに皆救ってあげましょうという態度が透けて見える。

 おそらく彼ら彼女らは善意で言っているつもりなのだろうが、自覚がないからこそ余計に気持ち悪い。自分のことは自分で何とかするし、そうできるだけの能力を日本国民は持っていると信じている。もし左翼連中に先導(煽動)されるようならば、そんな国は早く滅んだほうが良い。

(坂木)

2011年9月5日月曜日

野田内閣について思うこと

 私は、初めに今回の野田内閣の顔ぶれを見て、坂木氏と同様の懸念をもった。この内閣には思想はもとより、経験に裏打ちされた実務能力があるようには思われないという・・・
 まず、厚生労働大臣の小宮山某。彼女は子ども手当の発案者でもあり、社会保障を「必要以上に」充実させようとするであろう。平生述べているように、私は徒に社会保障費を計上することに関して極めて批判的である。大した病気でもないのに病院に行ったり、必要以上にお年寄りを優遇するような福祉活動をしたり、このような事例は枚挙にいとまがない。そもそも野田氏は増税を掲げる財政健全化路線をとるまっとうな(財務省よりの)政治家であっただろう。そのような方が小宮山のような人材を大臣に据える意図がいまいち理解できない。
 極めつけは防衛大臣だろう。坂木氏もおっしゃっているがド素人が安全保障に携わるとは何事か。そもそも野田氏の父上は立派な自衛隊員であった。そのような人物がどうしてこのような人選をしたのか理解に苦しむ。
 
 ただし、そのような内閣であっても、僕は半年は様子を見ようと思うのである。

                                  (文責 gerira)

2011年9月4日日曜日

的中した不安

 早くも私の不安が的中した。防衛大臣の一川保夫氏が「安全保障に関しては素人だが、これが本当のシビリアンコントロールだ」と発言したらしい。同氏の不見識は論評するまでもないが、なぜ野田総理はこのような人物を防衛大臣に任命したのか。野田氏は保守派と評されているからなおのこと理解に苦しむ。

 民主党政権に共通していえることだが、そもそも彼らの防衛に対する意識は希薄すぎる。それが防衛大臣の人事に如実に表れている。最初の北澤氏も安全保障に関しては素人だった。唖然とすることに、当初鳩山総理は福島瑞穂社民党党首を防衛大臣にあてようとしたらしい。このようなエピソードからも、いかに民主党の国防意識が低いかがわかる。野田氏はこうした安全保障を立て直すのではなかったのか。

 さらに法務大臣の平岡秀夫氏は死刑に慎重な姿勢をみせているし、小宮山洋子厚生労働大臣をはじめ地方外国人参政権の推進派も多数入閣している。これのどこが保守派の内閣だというのか。

 その野田氏自身も外国人からの献金が発覚する始末である。さらに同氏は、総理在任中は靖国神社を参拝しないと明言した。保守が聞いて呆れる。どうやら民主党内の保守と世間一般の保守とでは相当な乖離があるらしい。韓国メディアは野田氏を極右だと非難しているらしいが、極右どころか右派ですらないではないか。やはり野田内閣の働きを静観というわけにはいかなさそうである。

(坂木)

2011年9月2日金曜日

先行き不安な“どじょう内閣”

 前回の記事で野田内閣はbetterであり、しばらくは静観するべきだという見解が出た。概ね同意できるが、私からすればやや楽観的であると思う。というのも、今回の内閣は良くいえば挙党内閣だが、悪くいえば派閥均衡内閣であり、野田氏の色があまり見えないからである。

 玄葉外務大臣はいいとしても、安住財務大臣や山岡国家公安委員長をはじめ、内閣の人事には疑問を抱かざるを得ない。安住氏が財政政策に精通しているという話も聞いたことはないし、山岡氏は国家の警察行政のトップにしてはあまりにも悪い噂が多すぎる。全体的になぜこの人がこのポストなのかということがいまいち釈然としない。また党の人事を見れば、輿石幹事長という仰天人事である。輿石氏といえば、いわずと知れた「日教組のドン」であり、歴史認識など野田氏とは対極にある人物だろう。こうしたことからもわかるように、とにかく党内融和を最優先にし、結局のところ何をしたいのかよくわからない布陣になっている。例えば長島防衛大臣といったように、もっと野田氏の思想に近い人を起用しても良かったのではないかと思う。

 こうした内閣の顔ぶれを見る限り、私は大きな不安を感じる。確かにまだ何の働きもないのにあれこれ批判することはよろしくない。しかし、静観したからといって何かしらの成果が上がるとは思えないのである。最悪の場合、党内融和を重視するあまり党内での合意が得られず政治が停滞するおそれもある。また、輿石幹事長にみられるように、小沢派の影響力が今後増す可能性も大だ。

 野田氏がこうした派閥均衡内閣でいかに自身の色を出していくのか、今後の同氏の手腕にわずかばかりの希望を持ちたい。

(坂木)

2011年9月1日木曜日

野田総理就任を歓迎する。

同じブログの執筆者が3人ということで、別の見解を乗せておこうと思う。とはいえ大筋では同感ではあるのだが…。

私は一貫して菅前首相の早期退陣を主張してきた。当初、菅前内閣は、鳩山政権が軽視ないし無視してきた日本の抱える様々な政策課題(①税と社会保障の一体改革、②TPPをはじめとするEPA,FTA戦略、③法人税減税など成長戦略、④無理なマニフェスト修正)の見直しを掲げ、誕生した政権であった。こうしたことに対して当初は一定の評価を与えていた。

にもかかわらず、それに対する実行はほとんど伴わなかった。マスメディアはこうしたことを野党の非協力のせいだと喚き立てているが、私の見る限り、自民党・谷垣執行部や公明党は、かつての社会党や民主党の政権への対決姿勢と対比すれば、きわめて建設的に協力していたと思う。にもかかわらず、実行力が伴わなかったのは、まさに菅首相の国民に訴えかける力の欠如、突破力のなさに他ならないと考えていた。ゆえに東日本大震災がなくとも、菅内閣は総辞職に追い込まれるべきであった。しかしながら、結果として東日本大震災により延命してしまった。そして菅内閣はいよいよ東日本大震災で致命的ともいえる復興政策の遅れを示してしまう。かつて阪神大震災(一部の口さがない方からは「阪神大虐殺」とさえ揶揄)にて、致命的な初動の遅れで批判された村山内閣と比較しても、仮設住宅の建設、生活再建への資金給付、中小企業・農林水産業者への復興支援、補正予算の編成、復興基本法の制定に至るまで日数をかけている。

ちなみに、村山内閣は初めての都市直下型地震としてノウハウもマニュアルも危機管理能力もない中だった。したがって初動の遅れはそうした部分も大きかった。(ただし、現場からの突き上げがなければ出動すら拒否し続けたこと。自衛隊の出動規模を最小限にするよう主張したことは社会党特有のものであり、やはりそれによる人命の損失は村山富一氏など社会党首脳部に帰せられるべきだと思うが)

菅内閣はそうではない。村山内閣という前例・モデルをもとに彼らは何をすべきか、考えることができたのである。なのになぜ法案提出、予算の編成が遅れたのか?主因は、誤った政治主導と菅首相による誤ったリーダーシップによる部分が大きい。

野田氏はこうした菅首相によるパフォーマンスの在り方に対して、閣内にいながら批判的な立場を堅持していた。また今回の4候補と対比すれば、唯一、果敢に「税と社会保障の一体改革」を重要な争点として掲げており、国民の不人気政策に対しても手を付けることを明言している。確かに財務省の言いなりとなって、現時点で復興増税に着手することは極めて愚かなことだと考えるが、中長期的な財政再建への道筋を明確に示すことは日本の財政規律に対する国際的な市場の信頼にもつながる。(ただし財務省の言うような財政再建単体のやり方では国際市場は評価しない。成長戦略・景気刺激を組み合わせた合わせ技が必要である)

円高対策に関しては全く評価しないが、市場マネーの膨張によって、市場介入を否とする近年の欧米財政・金融当局の認識の中で、G8協調の観点から介入に踏み切りにくい環境にあることは理解する。(理解するが、それでも介入により積極的になるべきだったと確信するが)

率直に述べて野田氏は今の状況を考えた中で、bestではないが、民主党が早期解散に踏み切る可能性に乏しいとした場合、betterと述べてもよいと思う。もちろん実現可能性があるbestは早期の解散総選挙で、自民党・みんなの党・公明党・たちあがれ日本を中心とする政権交代が起こることだと確信しているが。

少なくとも半年はこの内閣のやる政策を静観したい。アメリカでいうハネムーン期間みたいなものである。短期間で評価しすぎることは望ましいこととは思わない。野田内閣に対する是非はしっかり政策を評価できる段階になってからでも遅くないだろう。


P.S.私は以前、居直り発言をした菅首相に対して「政権がますます迷走し、日本国民にとって不利益な結果にしかならない」と主張し、「菅首相がいい意味で予想を裏切ってくれること」に期待した。しかし、やはりというべきか、この期待は裏切られてしまった。野田総理にはせめてこの最低限の期待を裏切らない政権運営をしていただきたいものだ。


(執筆者 43)