2012年6月18日月曜日

手の平を返した橋下氏の見苦しさ


 先日、ツイッターでとある発言を目にした。

 コメンテーターの情報なんていい加減。先日府の調査結果によれば自家発電のない病院施設もあった。関西全体でも相当数あるだろう。原発事故は恐ろしい。しかし停電リスクも恐ろしい。停電リスクを覚悟するなら、その対処方法についてきちっと自信を持っていなければならない。

 ところが停電リスクに対処する権限は、大阪府市にも関西広域連合にもない。リスク対応ができないのに、そのリスクは大丈夫だとは現実の行政を預かる立場では言えない。コメンテーターなら停電になっても病院は大丈夫と言えますが。元へ。朝日新聞の見出しのように財界談判で折れたのではありません。

 おわかりの方もいるかと思うが、大阪市の橋下市長のツイートである。この発言を見たとき、私は驚きを覚えた。これが、ついこの間まで原発再稼働に執拗に反対していた人物の言うことなのだろうか、と。

 橋下氏は、上記のように病院への影響など、停電時のリスクを考えて原発再稼働に同意したようだが、いまさらそんなことに気がついたのだろうか。“現実の行政を預かる立場”にあるはずのこの人物が、今まで散々、原発がなくとも関西は大丈夫などと、「そのリスクは大丈夫だと」無責任な発言をしてきたのではないか。にもかかわらず、原発容認に転向するにあたり今までの無責任な発言にたいして謝罪する素振りは一向に見せない。

 ただし、彼が再稼働賛成に鞍替えしたことは評価したい。あのまま意地を張って再稼働に頑なに反対していたのでは、取り返しのつかない事態になっていたであろう。

 では、なぜ彼が再稼働に同意するに至ったのか。それは、やはり反原発が世論の支持を得られにくくなったからだろう。全ての原発が再稼働することに反対するような過激な連中は最早少数派となってしまった。事故当初こそ、多くの人々が原発に反感を抱いたであろうが、時間がたつにつれ冷静さを取り戻した。そうした中で、大飯原発再稼働反対にこだわることは得策ではないと判断したに違いない。「世論調査では(維新の会の)支持が出ているが、バブルだと認識しないといけない。われわれの武器はフワッとした民意。後押しを得るには国ができなかったことに果敢にチャレンジするしかない」と橋下氏が自ら述べるように、民意こそが彼にとって最も重要なのであり、そのためには容易に手の平を返すことも辞さないのである。大衆の支持を得るために新奇な言辞を弄し、支持を得られないとわかると撤回する。こんな見苦しい政治ごっこをいつまで続けるつもりなのか。

(坂木)