2012年12月16日日曜日

総選挙に寄せて



【自民党よ、驕ることなかれ】

 今回の衆議院選挙は、予想通り、自民党の勝利であった。一自民党支持者として今回の選挙結果は、喜ばしい。しかし、自民党の勝利といっても、有権者が積極的に自民党を支持したかといえば、必ずしもそうではないと思う。

 いうまでもなく、約3年間にわたる民主党政権はひどかった。具体的に述べるまでもないだろう。したがって、今回も民主党に投票するという選択肢は、民主党支持者であるか、よほどの知名度のある候補者でない限り、まずないだろう。

 また、今回の選挙では、いわゆる第三極の政党が注目を浴びた。しかし、実態はどうだったかというと、第三極にも思っていたほどは期待できそうにない。日本維新の会は、石原氏と橋下氏との二層構造―例えば石原氏の発言を橋下サイドが否定するなど―が災いし、あまり支持を広げることができなかったように思う。やはり、維新とたちあがれ(太陽の党)の合併は、石原側と橋下側双方の支持者を減らすだけに終わったのではないか。また、日本未来の党に至っては、即時原発ゼロというラディカルな政策もさることながら、ほとんど「卒原発」のみを訴えるシングルイシュー政党であるゆえに、ほとんど支持を得ることができなかった。しかも、その内実は小沢氏率いる民主党離党組をはじめ、寄せ集め政党という他ない。第三極に投票するぐらいなら民主党に投票するほうがまだましである。

 このような状況の中で、自民党の勝利は必然だった。ただし、それは消去法で自民党が選ばれたにすぎない。自民党は、そのことを肝に銘じて慢心しないようにしていただきたい。

【衆愚政治に終止符を】

 また、今回の選挙で思ったことは、やはり有権者の振れ幅が大きいということだ。いくら民主党が酷過ぎたとはいえ、自民党が勝ち過ぎの感がある。熱しやすいが、冷めやすい。これが今の有権者の性質であり、今の政治の体たらくだろう。小泉政権以後、首相が一年前後で交代するということが常態化している。初めの頃は高かった内閣支持率がどんどん下がっていく。自民がダメだから民主。民主がダメだから自民。このいささか小児病的な飽きっぽさが国民に蔓延している。

 だから、今後もこのようなことが続くのであれば、自民党政権の支持率もすぐに下がるだろう。ポピュラーセンチメンツで動く政治からおさらばしなければなるまい。次期政権に求められるのは、世論に迎合せず、信念に基づいて粛々と政治を進めていく実行力だろう。そして我々有権者は、子供じみた飽きっぽさを捨て、冷静かつ長い目で政治を注視していかなければならない。

(坂木)