2012年5月24日木曜日

反韓流運動にひそむ矛盾。


 最近、反韓流運動の勢いが増している。フジテレビや花王に対する抗議デモをはじめ、竹島を韓国の領土だと世界中で宣伝している“反日活動家”(女優)キム・テヒをCMに起用したロート製薬に対する抗議活動では、逮捕者も出る騒ぎだ。また、母親が生活保護を受給していたお笑い芸人の河本準一が批判の矢面に立たされ、同氏の“在日”疑惑も浮上している。

 こうした中、ニコンの所有するギャラリーで「従軍慰安婦」の写真展が開催されるということで抗議が殺到。ニコンは写真展の中止を決めたという。私はこの出来事に対して、ある種の不気味さを感じずにはいられなかった。

抗議した人々は、ニコンの迅速な対応に称賛を浴びせているが、むしろニコン側が彼らの抗議活動がこれ以上激化することを恐れた結果とみるほうが妥当だろう。

 もちろん、私としても、そのような「従軍慰安婦」の写真展が開催されることに対しては不快に思う。また、キム・テヒの件に関しても、彼らの批判は概ね納得できる。

 しかし、ニコンの例からもわかるように、彼らの活動が時として企業の自由な活動を萎縮させているのだ。このままこうした反韓流運動が過激化すれば、企業の方はもはや韓国の「か」の字さえ口に出せない状況が生まれるだろう。果たしてこれは健全なことなのだろうか。

 彼らは、在日朝鮮人の犯罪がメディアで取り上げられないのは、在日による圧力が加えられているからだという。在日団体からの圧力はもちろんだが、マスコミ界は在日に席巻されており、在日によって言論弾圧されているらしい。だから、在日の河本準一ことハ・ジュンイルの騒動も取り上げられないのだと。

 では、こうした朝鮮による言論弾圧を批判し、抗議活動を展開する人は、自身も朝鮮と同等の言論弾圧に加担しているという自覚がどれほどあるのか。朝鮮を批判するだけで逮捕されることになる人権擁護法案に反対しているはずの彼らが、まさにその人権擁護法案にも劣らぬ行為をしているのである。

 誤解のないように申しておくが、私はなにも韓国や在日朝鮮人を擁護しているのではない。韓流ブームや在日に対する優遇措置に対しては違和感を覚える。しかし、それを抗議デモというような過激な手法で批判してほしくないのである。韓国における反日デモのような狂気をともなった野蛮な行為を、日本人に真似してほしくないのである。感情的になる気持ちも理解できるが、冷静に対処しなければならない。韓流ブームや韓国人のCM起用など、取るに足らないことは無視すればよい。必要なことは、そのような瑣末なことにいちいち目くじらを立てることではなく、あらゆる不正―それには当然、在日に対する優遇措置や韓国による反日工作なども含まれる―に毅然とたち向かえる政治、行政、社会をつくっていくことであろう。例えるなら、竹島は韓国領と喧伝する女優を起用する企業に対し抗議デモを展開するのではなく、竹島は日本領であるという歴史的根拠に知悉し、世界に発信する。あるいは、それができるまっとうな政治家を選ぶ。こうしたことが重要なのだと思う。

(坂木)