2011年9月2日金曜日

先行き不安な“どじょう内閣”

 前回の記事で野田内閣はbetterであり、しばらくは静観するべきだという見解が出た。概ね同意できるが、私からすればやや楽観的であると思う。というのも、今回の内閣は良くいえば挙党内閣だが、悪くいえば派閥均衡内閣であり、野田氏の色があまり見えないからである。

 玄葉外務大臣はいいとしても、安住財務大臣や山岡国家公安委員長をはじめ、内閣の人事には疑問を抱かざるを得ない。安住氏が財政政策に精通しているという話も聞いたことはないし、山岡氏は国家の警察行政のトップにしてはあまりにも悪い噂が多すぎる。全体的になぜこの人がこのポストなのかということがいまいち釈然としない。また党の人事を見れば、輿石幹事長という仰天人事である。輿石氏といえば、いわずと知れた「日教組のドン」であり、歴史認識など野田氏とは対極にある人物だろう。こうしたことからもわかるように、とにかく党内融和を最優先にし、結局のところ何をしたいのかよくわからない布陣になっている。例えば長島防衛大臣といったように、もっと野田氏の思想に近い人を起用しても良かったのではないかと思う。

 こうした内閣の顔ぶれを見る限り、私は大きな不安を感じる。確かにまだ何の働きもないのにあれこれ批判することはよろしくない。しかし、静観したからといって何かしらの成果が上がるとは思えないのである。最悪の場合、党内融和を重視するあまり党内での合意が得られず政治が停滞するおそれもある。また、輿石幹事長にみられるように、小沢派の影響力が今後増す可能性も大だ。

 野田氏がこうした派閥均衡内閣でいかに自身の色を出していくのか、今後の同氏の手腕にわずかばかりの希望を持ちたい。

(坂木)