2012年1月5日木曜日

私が消費税増税に反対する理由

 野田総理は、年頭記者会見で消費税増税に向けて決意を示し、衆議院解散の可能性を示唆した。総理の増税に対する信念は固い。私を含めた国民の多くも増税の必要性を感じている。しかし、それでも私は、現段階での消費税増税には反対である。理由は三つある。すでに多くの識者によって主張されていることではあるが、私の意見を述べたい。

第一に、歳出削減努力がみられないことである。昨年の臨時国会で、国家公務員給与の削減をめぐり、政府・与党と野党との意見が食い違い、会期を延長することなく協議を打ち切った。議員定数削減という話もうやむやになってしまった。国民に負担を求める際には、まず自分たち自身が身を切らなければならないと、多くの国民の思うところではなかろうか。

第二に、増税はマニフェスト違反である。民主党が政権をとるとき、少なくとも今後四年は増税しないと述べていたのではなかったのか。そもそも彼らの主張では、財源はいくらでも出てくるはずだった。こうした公約の反故に対する謝罪は一向にない。本来であれば増税前に解散・総選挙をするべきであるが、せめて謝罪ぐらいはしなければならない。

第三に、デフレ不況下における増税は経済をさらに冷え込ませる。増税による消費の減退は経済を疲弊させ、デフレに拍車をかけることは、すでに多くの識者が指摘するところである。そうしたことを総理は理解しているのだろうか。増税の背景には、ひたむきに財政規律を死守しようとする財務省の意向ばかりがちらついて、経済に対する思慮が全く見えてこない。

以上の理由から、現時点での増税には反対である。そして何よりも、増税の先にあるビジョンが総理の姿勢からは全く見えない。増税そのものが目的化しているのではないだろうか。総理が大局的な国家像を掲げ、その実現には増税はやむを得ないというのならば、まだ理解も得やすいだろう。しかしそうした言辞は出てこない。あるのは、財務省への配慮だけである(少なくとも、そのように見られてしまっている)。民主党政権が発足して以来、国家観の欠如は幾度となく指摘されてきた。野田総理も同じ轍を踏むのだろうか。


(坂木)