2012年9月18日火曜日

尖閣問題を考える―【1】“反日デモ”と呼ばれるものについて



 中国では“反日デモ”と称して破壊行為や略奪が横行しているらしい。発端は尖閣諸島の国有化だが、それはただの口実であり、貧富の格差をはじめとする不満のはけ口として暴力行為に耽っているというのが実情なのだろう。実際、共産主義の原点としての毛沢東の肖像画がデモで掲げられているらしい。

 したがって、一連の“反日デモ”は純然たる犯罪行為であって、反日とは切り離して対処する必要があるのだと思う。日本国内では、政府が尖閣諸島を国有化したから中国で日系企業に被害が及んだという論調もある。しかし尖閣諸島国有化はあくまできっかけに過ぎないのであり、その後の一連の暴動とは切り離して考えなければならない。日本政府は、在中邦人ならびに企業の財産と安全が侵害されたことに対して強く抗議しなければならない。ここで日本政府が譲歩するようなことがあれば、それこそ中国の思うつぼだろう。

 さらにいえば、政府が国有化しようがしまいが、早晩こうしたことが起こるのは目に見えていた。南沙諸島をめぐる中国と東南アジア諸国との対立をみれば明らかだ。中国側の反応を過度に気にしていては、中国側の嫌がることは何もできなくなってしまう。“冷静な対応を”という決まり文句だけでは問題は解決しないことをいい加減自覚するべきだ。

最後に、今回の騒動を奇貨として、中国の日系企業―とくに製造業―は、リスク分散体制の確立に本腰を入れるべきだろう。中国でビジネスを展開することの危うさが改めて浮き彫りとなった。また、以前から中国における人件費は上昇しており、中国に生産拠点を置くメリットも減退している。今後は、ベトナムやミャンマーなどの東南アジア諸国に軸足を移していくほうがよいのではなかろうか。いずれにせよ、中国という国でビジネスをすることのリスクを再認識することになったと思う。

(坂木)