2012年2月17日金曜日

橋下新党・船中八策を検証する(3)

②行財政改革

プライマリーバランスの黒字化に関してだが、全面的に賛同である。

理由について簡潔に説明する。

①個人金融資産と国債残高が早ければ2015年にはクロスし、国内のみで国債を消化できない可能性
②日本の急速な少子高齢化の中で、社会保障給付の拡大に見合う財源の確保が急務であるため


ただし、個人的には計画的なインフレ誘導による実質的国債残高削減や成長戦略・多産政策・移民政策を組み合わせることによって、少しは国債負担を減らすことができると考えているので、そのあたりにもう少し言及がほしかった。しかし、某ポピュリズム政党「みんなの党」よりはよっぽど健全な財政観を持っていることを確認できただけでも、個人的には収穫である。

ネット世論では増税断固反対、国債はどんどん発行すべきだとの論調が一般的である。確かに国債は将来世代への借金とはいえ、将来世代は無限にいるので債務をかなり希釈することができる。また国内で消化できている限りはデフォルトの心配もない。そういう意味で性急な財政再建路線には反対する。しかし、国債には利子がつく。利子を償却するのはその世代の責任である。さすがにGDPの数倍に膨れ上がった借金の利子を現代世代や近い将来世代のみで負担するのは困難である。

財政の健全性とはGDP比の純債務残高から把握されるべきで、かつては外貨準備の大きさから、債務が大きくとも純債務残高ではさほど大きくなかったのだが、いまや日本は諸外国と比較しても年々拡大傾向にある。そうした意味で近い将来に財政健全化に着手する必要性というのは財務省の発言をそのまま信じるおバカでなくとも、気づくべきことである。

(執筆者 43)